ねこぶんがく

文芸好きが本や映画の話をするブログ。

2021年 お気に入り本ランキング

あけましておめでとうございます。 そしてお久しぶりです。 なかなか「読みたい欲」と「書きたい欲」が一致する時期がなくて、本を読んでも感想を書く気が起きなかったり、何か書きたくても読む気力がなくて書くことがなかったりで、気づけば3ヶ月くらいご無…

ハン・ガン『菜食主義者』

ハン・ガン『菜食主義者』 初めて韓国文学を読んだ。韓国文学、数年前から流行ってるよね(K-POPブームとも関係がありそう?)。しばらく本屋に行かなうちに続々と翻訳が進んでいたみたいで、選択肢の多さに驚いた。 韓国文学を読むのは今回が初めてだったの…

佐藤多佳子『明るい夜に出かけて』

佐藤多佳子『明るい夜に出かけて』 明るい夜に出かけて(新潮文庫) 作者:佐藤多佳子 新潮社 Amazon あらすじ; とある事件をきっかけに、大学を休学してコンビニでアルバイトを始めた富山。自称「歌い手」のバイト仲間・鹿沢や、深夜ラジオのリスナー同士で…

【読書】一方通行の友情? 奥田亜希子『クレイジー・フォー・ラビット』

奥田亜希子『クレイジー・フォー・ラビット』 クレイジー・フォー・ラビット 作者:奥田 亜希子 朝日新聞出版 Amazon あらすじ 人の隠し事のにおいを感じ取ることができる愛衣。クラスメイトに本音を言えず糾弾された小学生時代、独りぼっちにならないために…

【おすすめ韓国映画】『パラサイト 半地下の家族』ネタバレレビュー

アカデミー賞受賞で話題となった韓国映画『パラサイト 半地下の家族』。Netflixで配信されていたので観てみたのですが、予想を超える面白さでした。余韻の重たさにひたりながら、レビューしていきたいと思います。 あらすじ: 半地下で暮らす貧しい一家が裕福…

Netflixオリジナルドラマ『宇宙を駆けるよだか』~クラス一の美女とブサイクが入れ替わる話~

Netflixオリジナルドラマ『宇宙を駆けるよだか』を観ました。入れ替わりというSFチックな設定、ダークなヒューマンドラマ、俳優さんたちの演技、どれを取っても満点の一気見ドラマです。 あらすじ: 優しい家族と美しい容姿に恵まれ、ずっと好きだった幼馴染…

『群像』2021年2月号 注目作品ランキング

今年の読書目標の一つとして、「文芸誌を毎月読む」というのを掲げました。文芸誌には最新の文芸作品が掲載されることから、文芸界のトレンドをいち早く知れること、新しい作家・作品を知るきっかけになること、各文芸誌の特色を掴めること、などがその理由…

【書評】芥川賞候補作! 宇佐見りん『推し、燃ゆ』レビュー ※ネタバレなし

今回は第164回芥川賞候補作の一つ、『推し、燃ゆ』をネタバレなしでレビューしていきます! 宇佐見りん『推し、燃ゆ』 推し、燃ゆ 作者:宇佐見りん 発売日: 2020/09/10 メディア: Kindle版 あらすじ ある日、推しが彼女を殴って炎上した。実生活では何をやっ…

【書評】綿矢りさ『意識のリボン』

綿矢りさ『意識のリボン』 意識のリボン (集英社文庫) 作者:綿矢りさ 発売日: 2020/04/03 メディア: Kindle版 私から見た綿谷りさという作家は、頭と体が繋がっていない未知の生き物だ。頭だけ見ると私と同じ人間で、安心して近寄っていくのに、ふと体を見れ…

2020年おもしろかった本 Best10

タイトルでBEST10と掲げたものの、順位付けが難しかったので読了順に紹介していくよ! 1. 夏目漱石『文鳥』 文鳥・夢十夜 (新潮文庫) 作者:漱石, 夏目 メディア: 文庫 これはシンプルに美しかった。語り手はもらってきた文鳥を最後に死なせてしまうんだけど…

【文学小話】『六の宮の姫君』から始まった不思議な縁

先日、北村薫『六の宮の姫君』を読みました。 芥川が自身の作品『六の宮の姫君』についてこぼした(架空の)言葉、「あれは玉突きだからね。いや、キャッチボールかな」の真意を解き明かす話で、作中では(ネタバレしますが)菊池寛の『首縊り上人』を受けて…

【本レビュー】又吉直樹『夜を乗り越える』

※2018年に書いた記事を再掲載しています 『夜を乗り越える』 /又吉直樹 夜を乗り越える(小学館よしもと新書) 作者:又吉 直樹 発売日: 2016/06/01 メディア: 新書 芥川賞作家・又吉直樹が「なぜ文学を読むのか」を語ったエッセイ。 ふだん本を読まない人に読…

【本レビュー】夏目漱石『私の個人主義』

※2018年に書いた記事を再掲載しています 夏目漱石『私の個人主義』(1915) 私の個人主義 (講談社学術文庫) 作者:夏目漱石 発売日: 2017/10/20 メディア: Kindle版 1914年11月に漱石が学習院で行った講演を筆記したもの。 漱石自身の経験から、自らの生きる…

【本レビュー】太宰治『人間失格』初読の感想を正直にまとめてみた

※2017年に書いた記事を再掲載しています 太宰治『人間失格』(1948) 斜陽 人間失格 桜桃 走れメロス 外七篇 (文春文庫) 作者:太宰 治 発売日: 2000/10/06 メディア: 文庫 あらすじ: 幼い頃から人間というものを理解できず、恐怖さえ感じていた主人公の一生…

【本レビュー】読書感想文におすすめの本! 草野たき『ハチミツドロップス』

※2016年に書いた記事を再掲載しています 『ハチミツドロップス』(講談社文庫) 作:草野たき ハチミツドロップス (講談社文庫) 作者:草野 たき 発売日: 2008/07/15 メディア: 文庫 あらすじ 明るくてお調子者の中学生女子・カズはソフトボール部のキャプテ…

【本レビュー】白河三兎『私を知らないで』

※2016年に書いた記事を再掲載しています 『私を知らないで』(集英社文庫) 作:白河三兎 私を知らないで (集英社文庫) 作者:白河 三兎 発売日: 2012/10/19 メディア: 文庫 あらすじ 父が転勤族で転校を繰り返す慎平は、中二の夏に転校した学校で「キヨコ」…

【本レビュー】ウェルズ『通い猫アルフィーの奇跡』

※2015年に書いた記事を再掲載しています 小説『通い猫アルフィーの奇跡』(ハーパーBOOKS) 原題:Alfie the Doorstep Cat 作:レイチェル・ウェルズ 訳:中西和美 通い猫アルフィーの奇跡 (ハーパーBOOKS) 作者:レイチェル ウェルズ 発売日: 2015/09/19 メ…

【本レビュー】万城目学『かのこちゃんとマドレーヌ夫人』ネタバレレビュー

※2015年に書いた記事を再掲載しています 『かのこちゃんとマドレーヌ夫人』 作:万城目学 かのこちゃんとマドレーヌ夫人 (角川文庫) 作者:万城目 学 発売日: 2013/01/25 メディア: 文庫 あらすじ: 好奇心旺盛な小学1年生・かのこちゃんと、気高いアカトラ猫…