ねこぶんがく

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【本レビュー】又吉直樹『夜を乗り越える』

※2018年に書いた記事を再掲載しています

 

 

『夜を乗り越える』 /又吉直樹

 

夜を乗り越える(小学館よしもと新書)

夜を乗り越える(小学館よしもと新書)

  • 作者:又吉 直樹
  • 発売日: 2016/06/01
  • メディア: 新書
 

 

 

芥川賞作家・又吉直樹が「なぜ文学を読むのか」を語ったエッセイ。

 

 

ふだん本を読まない人に読書の魅力を伝えることを念頭に書かれたみたいですが、本好きも十二分に楽しめるエッセイです。

 

又吉さんは読書の魅力を「共感」「新しい感覚を発見すること」の二つだと言います。

この本もまさにこの二つを体感できる本でした。

 

本の読み方や魅力について書かれた部分は「本好きあるある」として楽しめましたし、

又吉さんの文学観は、私にとって「新しい感覚の発見」につながりました。

 

とにかく文学への情熱がはんぱじゃない方なんですね、又吉さん。

文学に対して本当に誠実に、真正面から向き合っているんだなーと感じました。

中でも特に感心したのはこの一文。

 

 “どうせ読むなら、楽しむという指標において、本+自分の読み方の総合点では誰にも負けたくない”

 
これを読んだとき、ああこの方は本当に文学が好きなんだな、なんて作品への敬意と愛情にあふれた言葉なんだろう、って目の覚める思いでした。
私こんなに純真な気持ちで本に向き合ったことあったかな、って。
尊敬すると同時に、自分の文学との向き合い方を見直すきっかけにもなりました。
 
なぜ本を読むのか、私も私なりの答えを考えてみようと思います。