【本レビュー】夏目漱石『私の個人主義』
※2018年に書いた記事を再掲載しています
漱石自身の経験から、自らの生きる道を探す意義と、個人を尊重することの重要性を説いている。
これは大学生の今読めて本当によかった。
自分が何になりたいか、本当にやりたいことは何なのか。
そんなものが私にもあるのか。ないんじゃないのか。
でも「本当にやりたいことを見つける」ことを諦めたくない。
何をどうすればそれを見つけられるんだろう。
生きていく上で誰しもがぶつかる課題。
答えがあるのかすら分からないこの問いに自分なりの答を与えることが、生きる意味なのではないかとすら思います。
そんな迷いと煩悶に日々を費やす学生たちに、漱石はこう話しています。
“どうしても、一つ自分の鶴嘴で掘り当てるところまで進んで行かなくってはいけないでしょう。”
“もっとも進んだってどう進んで好いか解らないのだから、何かにぶつかる所まで行くよりほかに仕方がないのです”
“ああここにおれの進みべき道があった! ようやく掘り当てた! こういう感投詞を心の底から叫び出される時、あなたがたは始めて心を安んずることができるのでしょう。容易に打ち壊されない自信が、その叫び声とともにむくむく首を擡げて来るのではありませんか”
月並みな言い方ですけど、私、これを読んだとき本当に勇気をもらいました。
進むべき道が分からなくても、歩みを止める必要はないと。
霧の中をひたすら歩き続けることにも意味はあるのだと、
今の私の状況を肯定してくれたような気がして。
私の周りには、すでに自分の本分を見つけて、夢に向かって努力を始めてる人がたくさんいるんですよね。
その姿がとってもうらやましくて、同時にめちゃめちゃ焦ってたんですけど。
まだまだ遅くはない、悪あがきを続けようって思えました。
あの漱石だって文学の道に入ったのは30代になってからだもんね。
それにしても、こういう、迷いを肯定してくれる文章ってめちゃくちゃ心に残る。
私が人生の路頭に迷ってるからでしょうか(笑)
漱石、いい先生だったんだろうなぁ
もっとも本人は教師という職業に何の愛着も持っていなかったみたいだけど。
先生の授業、生で受けてみたいな~。